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Goro・とおく

遺言代わりに書き留めています。 自分と自分の周りのこと・・・

カテゴリー「家族」の記事一覧

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幸福を呼ぶ牛の角


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先週、忍野八海の土産物屋さんでカミサンが買ったストラップ。
観光を終えて一旦クルマに乗り込んだ後、
 
『どうしても欲しいから、やっぱりもう一度見てくる』
 
そう言って店に引き返し、
その後20分間戻ってこない原因となったシロモノです。
 
 
忍野を出発すると、
カミサンが興奮冷めやらぬ様子で切り出した。
 
  見てよ、凄いでしょ。【水牛の角】で出来てるのよ、コレ。
  顔のつくりの良いやつを探すのがタイヘンだったのよ。
  【水牛の角】の模様がいい感じでしょ。
 
どうやら【水牛の角】が使われているところが気に入ったらしく、
しきりにそこを強調する。
 
商品は手作り品のせいか仕上がりに個体差があり、
顔つきの良いフクロウを選ぶのに20分も掛かったようだ。
 
   二つともいい顔でしょ。どう?
 
あぁ、いいね。
 
   でしょ。
   二つ選ぶの、タイヘンだったんだから。
   お揃いよ。
 
お揃いって、誰が使うの?
 
   何、言ってるの。
   二人で使うに決まってるじゃない。
 
俺がストラップ使わない人で、
お揃いとか大っキライな人だって知ってるでしょ。
 
   いいじゃない。せっかくの記念旅行なんだから。
   どっち使う?
 
どっちでもいい。
 
   もっと真剣になってよ。
 
じゃぁ、黒いほう。
 
 
そう答えるとカミサンはとんでもないことを言い出した。
 
   ・
   ・
   ・
 
   さっき、牛がいたよね。
 
(もしかして・・・)
 
   あれ、水牛かしら。
 
(やっぱり・・・)
 
さすがに此処には水牛はいないだろう?
 
   いたわよ。
 
(山梨に水牛などいるはずがない)
 
ウソだろ? 
 
   山梨って宝石の加工とかで有名でしょ?
   だから、このストラップもこのあたりの【水牛の角】を使ってるのよ。
   きっとそうだわ。
 
(面白いから話合わせとくかw)
 
あぁ、だったらそうかもね。
水牛の角って貴重で高価なんだぞ。知ってる?
 
   ハンコとかも高いものね。
   でも、これ一つ420円なんだよ。凄いでしょ。
 
最高級品の実印と同じ材料でその値段!
ビックリだね。
 
 
   でしょ。
 
結婚三十周年に縁起がいいかもね。
 
   いい記念になるでしょ。
 
山梨産の水牛の角で出来たアクセサリーなんて
なかなか手に入らないぞ。
 
(そんなの売ってたらニセモノに決まってる)
 
カミサンは実に嬉しそうにしげしげと眺めていた。
完全に【水牛の角】と信じ込んでいる。
せっかくだから、そのままにしておくことにした。

   ・
 
そして、二日後。

   ・
 
もう、さすがに気づいたろうと思い、さりげなくカミサンに振ってみる。
 
すると・・・
 
   本当にいい買い物したわよ。【水牛の角】だもんね。
 
やはり、依然として【水牛の角】である。
 
しかも、新事実が・・・
 
 
   買った(顔の良い)二つ、上手く隠した甲斐があったわ。
 
隠した? 何それ? どういうこと?
 
   最初、買うかどうか悩んじゃって・・・。
   戻った時のことを考えて、目を付けた顔のいいやつが
   ほかの人に買われないように、
   商品の山の下の方に隠しておいたのよ。   

(土産物屋で子供並みの隠蔽工作!? 何してんだよ・笑)
   
水牛の角】だから必死だったんだ。
 
   そうなのよ。
 
凄いなぁ。そりゃ、執念出したねぇ。
 
3bae70f9.jpeg

私は最初に手にした時から気づいていた。(笑)

こうして三十一周目に突入。




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この下衆野郎!

カミサンが腰を痛めてしまい、職場近くの整体医に通っている。
保育士は肉体労働者なので、腰以外にも首、背中と凝り固まっており、
部位としては全体的にマッサージを受けることになる。
カミサンの担当は若い助手クンで、相方の話によれば
どうやら彼は、歌舞伎役者の市川海老蔵に似ているそうだ。
この海老蔵クン、施術前の腹這いになった患者(カミサン)に
必ず確認することがある。
 
「下着のホックを外してもよろしいでしょうか?」
 
ホックを外さなければマッサージは出来ないのだから
極めて当たり前の慣例句的な問いかけに過ぎないのだが、
カミサンはヘンに緊張してしまうそうだ。
 
・・・んなアホな。(笑)
 
『毎回、そのセリフが出ると微妙な間ができちゃうわけよ。
 相手も緊張してる気がするのよね』
 
と、本人は言うが、
業務上の手続きをしているに過ぎない海老蔵クンが、
五十歳も半ばにさしかかっているオバサン患者を相手に
緊張などするワケがない。
例えば、これが温水(ぬくみず)さんに似ている人だったら、
カミサンだってそんなことを感じるはずもないので
海老蔵(っぽい人)だから・・・ゆえの、本人の完全な思い込みである。
 
カミサンをからかってみた。
 
   「下着のホックを外してもよろしいでしょうか?」って訊かれたら
 
   “私のほうがヘンな気を起こしてしまうと困るのでやめてください”って

   冗談咬まして答えてみれば?
 
すると、

「信じられない・・・」とでも言いたそうな呆れ顔のカミサンから
間髪置かずに言葉が発せられた。
 
 
『この下衆野郎!』
 
 
生まれて初めて言われたが、何だろう?
最下級の単語を吐かれた割には不思議にキモチがいいぞ。(笑)
 
 
 
 


減量の裏ワザ

今年に入ってから、
カミサンが物凄い勢いで家中の不用物を整理し始めた。
片付けコンサルタントの “こんまりさん” (=近藤麻理恵さん)に
触発されたからなのだが、実際のところ、
本人は、“こんまりさん” の書物を読んだことも、
出演したテレビも見たことはない。
「“こんまりさん” が凄いのよ!」という複数の同僚の声に
単純に感化された結果である。
先日、33年間購読した雑誌を処分したのも、この流れの一貫。
 
ゆえに、極めてカミサンの “My イベント” 的ではあるのだが、
とは言え、当家は双方フルタイムの共働き夫婦なので、
片付けたいキモチはあっても行動が起こせず、
じわじわっとモノが溜まり続けていたのは事実。
さほど広い家でもなく、確かに片付けが必要な時期には来ていた。
 
で、

直近の過去三週、
週末が来るたびに思いっきりあらゆるモノを処分した。
最早、捨てることが快感なのか、整理するアチコチで
カミサンの鼻歌は止まらず、実にキラキラと楽しそうに作業していた。
 
居住している自治体では、
不燃ゴミは所定サイズの袋に入りきらないと回収してくれない。
粗大ゴミは、(どちらの自治体も同様だろうが)申請した上で
有料のシールを購入し、それを貼り付けると回収してくれる。
ただ、処分数に比例してそれなりに費用が嵩み、回収まで日数もかかる。
安く上げようと思うなら、自治体の清掃工場に持ち込んで
直接処理する方法もある。

結局、大きな不燃物ゴミと粗大ゴミを三週連続で施設まで運んだ。

持ち込みの場合、150円/10kgで費用が計算される。
台貫で車重を量ってゴミを廃棄した後、再度車重を量り、
その差分が処分量として費用が計算される仕組みです。
そんなに不用物があったのか!?・・・と、ビックリしたが
90kg、60kg、100kg、都合三回で250kgのゴミが出た。
securedownload_1.jpg
三週目、最後のゴミを処分して帰ろうかという時、カミサンがこう言う。
 
     不思議なんだよね。
     毎週、量り終えた後の空車重量が違うのよ。
     ゴミ以外のモノを追加で捨ててはいないし、
     乗ってる人間も毎回、貴方と私の二人だけだよね。
     最近、体重を減らしてるから、そのせいかしら。
 
(そんなバカな!)
 
 ダイエットが実感できて良かったじゃない。
 15円/1kg でも、ちょっと得した気分になるだろう。 
 
    ホント、ホント。そんな気になる。
 
(あり得ん!)
 
 じゃ、来週も来ようか?
 
(絶対に来ないけど)
 
     数字が見えると嬉しいから、本当に来ちゃおうかしら。
 
(アホかっ!)
 
 ねぇ、体重をもっと減らす方法を教えてあげようか?
 
     何?
 
 ここに来るまでたくさん寄り道すれば、もっと減るよ。
 
     ・・・? 何言ってるのか分らない。
 
(そろそろ気付けよ!)
 
 クルマって、何で走るか知ってる?
 
     エンジンで走るに決まってるじゃない。
 
(何で気付かん?)
 
 エンジンって何で動く?
 
     ガソリンでしょ。
 
 そうだよね。
 ガソリンって、時々給油するよね。

     それが?

 ずっと同じ量がタンクに入ってるんだっけ?
 
     減っていくよね。
 
 そうでしょ。  だから?   だから??   だから???
 
     ア~ッッッ!! 
     ガソリンが減ってるんだ。
     なぁ~んだ、そういうことだったのね。
 
 
時間、掛かり過ぎ。
  
 
 

突っ張りポールがややこしい

土曜日のこと。

ホームセンターで買い物をしてクルマに積み込む際、
カミサンと私の間でちょっとしたすれ違いがあり、
ブツをひとつ駐車場に置きっぱなしにしてしまった。
買ったのは簡易ソファと突っ張りポールで、
置き去りにしたのは後者。

帰宅してソファを入れ替え、
清掃工場に持ち込むため旧品を車に積み込んだが、
この時点でも突っ張りポールのことには気付かず。

その後、別の買い物に向かう途中でやっと思い出した、というか
家の中に持ち込んだような気もしており、半信半疑で不明。
帰宅して無かったら電話で確かめようということになった。

結果、家の中に突っ張りポールは見つからず。
カミサンがホームセンターに連絡することになった。

ここで、普通なら・・・

『先ほどそちらで突っ張りポールを買ったものですが、
 落し物で届いていませんでしょうか?』

で、通じるはずだが、うちのカミサンは一味違う。

カミサンはレシートを見ながら・・・

あの、今日二時半頃にソファと突っ張りポールを買った●●と申しますが、
実は、そちらで買い物をした後に清掃工場に行き、
別のスーパーで買い物をして先ほど家に戻ってきたんですが、
突っ張りポールがないことに初めて気づきまして、
そちらで買い物をして台車で駐車場に運んだ時にソファの箱の上に
突っ張りポールを置いていたんですけど、クルマのところで
私が一度地面に置いてしまったんです。それで主人が気づかずに
クルマに乗せませんで、そのまま発車しちゃったんです。
こちらのミスで置いてきてしまったのに申し訳ないのですが
多分、駐車場に置き忘れたんだと思いますが、どなたかが見つけられて
サービスカウンターの方にでも届いていませんでしょうか?
落としたのは750円の1.5メートルの突っ張りポールなんですが。

余計にややこしい。
先頭行と最終行だけで十分に事足りるだろう。(笑)








19円の優秀な食材

会社からの帰り、
最寄のJRの駅でカミサンと待ち合わせて、
もろもろ食材を買うことになった。
同じ品物でも店によって値段が違うので、
安いモノを目指していくつかの店を廻ることになる。
 
一軒目の買い物を済ませて次に移動。
二軒目は駅の地下、B1フロアにあるスーパーなので
エスカレーターを使って下ります。
 
カミサンが先にステップに乗った後、
自分も続いていこうかというタイミングで
別の男性とバッティングする形になって間が生じた。
瞬間的に「ある予感」が走る。
本能に従い、足の踏み込みを止めて彼に先を譲ってあげた。
 
カミサン→男性→私 の順でエスカレーターは下っていきます。
 
カミサンと男性の位置取り(間隔)、男性の体型、私の体型・・・。
目の前の情報を最後尾から客観的に眺めるうちに
数秒前の「予感」が徐々に「確信」に変わっていく。
B1に向かって下りるまでの僅かな時間、私は、
エスカレーターがフロアに到着した後、
その先何メートルか進んだところで
間違いなく起こるであろう場面を想像していた。
 
B1フロア到着。
 
じきに自分に近づいてくるはずの人間と盲信し、
振り返って確認しようともしていないカミサンに男性が追いつき、
暫し横に並んで歩く状況になった。
私は二人から離れないよう、後ろにピッタリとくっつく。
 
もう直ぐだなぁ・・・と、期待が膨らむ。
 
男性の体型は私に酷似していた。
私が追いついたと思っているのだろう、
カミサンは右横に並ぶパートナーを全く疑っていない。
横を向き、視線を上げずに男性に話しかけ始めた。
 
OK! カンペキ! 予感どおり!!
 
『モヤシって優秀だよね。モヤシが家計を助けるのよ。
 知ってる? ●●で売ってるモヤシはとにかく安いのよ!』

 
「あぁ、知ってるよ」

 
後ろから耳元に顔を寄せて返事をしてあげたところ、
カミサンは、“あんた誰よ?”みたいな表情で振り返り
後ろにいる私の顔を見た。(笑)
ここでやっと自分の状況に気付いた彼女は、間髪置かず、
横に、後ろに、横に、と、首を忙しく動かした後、顔を真っ赤に染めた。

“赤っ恥”

正にこのような場面で使われる言葉なんだろうと思う。

もやし、ベリーナイス!
カミサンが言うとおり安くて優秀だ。
たった19円なのに、こんなシーンでも使える。(笑)
 
 
 
 
 


よくできました。

三連休の真ん中の日曜日。
勤務する自治体が開催する市民祭りの
「キッズステージ」という企画にカミサンが借り出されました。
“キッズメイト” とネーミングされるグループの一員として
訪れるたくさんの子供を相手に、一日中、
ステージパフォーマンスを披露したのです。

“キッズメイト” には保育士を一人ずつ派遣するよう、
毎年、各保育園に指令が出されます。
こんな部分にお金を掛けたくない自治体は、
所有する人的資源を当たり前のように簡単に使いますが、
選ばれた保育士にとっては、ほぼ一日拘束されるこのイベントが
思った以上に過酷です。

カミサンにプログラムを見せてもらったところ、
体操、踊り、寸劇、手遊びなど、演目数がめちゃくちゃ多い。
更に、出し物である以上、全員で合わせるためには事前の練習も
数回実施されるワケであり、通常業務以外に掛かる個人の負荷は
半端じゃありません。

当日のセットリストはこれ。

■サンサン体操
■アンパンマンマーチ
■へそへそパワー
■グーチョキパー
■パンダ・うさぎ・コアラ
■昆虫太極拳
■動物体操
■はたらくくるま
■秘伝ラーメン体操
■ピーマンマン体操
■スズメバチに気をつけろ
■昆虫太極拳(二回目)
■月夜のポンチャラリン
■はたらくくるま(二回目)
■おおきなかぶ
■サンサン体操(二回目)
■アンパンマンマーチ(二回目)

マジか? っていうぐらいの多さです。

加えて、

ただ、体操したり、踊っていればよいというものではなく、
例えばアンパンマンマーチの場合、
ちょっとしたストーリー仕立てで演技も入ります。
おまけに、参加する保育士はそれぞれの担当キャラのお面も
自作しなければなりません。カミサンはメロンパンナの役だったらしいが、
こんな作業はお手の物とはいえ、
事前の準備にはそれなりに手もかかります。

通常、こんなイベントには若手が派遣されるはずですが
カミサンの自治体では保育園の民営化が進んでおり、
保育士の新規採用はずっとストップしています。
当然、保育士は高齢化しており、
いい歳してこんなところに行きたがる人はまずいません。
かと言って、必ず誰かは出さなければならない。
誰も立候補しないことが分っているから、
カミサンは去年も今年も自発的に手を挙げたようだ。

当日の夜、
カミサンは目一杯疲れた様子で帰ってきた。
すぐに、大きなバッグから自作の小道具を出し、
処分するものと、この後、自分の保育園でも使えるものを分け始めたのだが、
その中に 『こりゃよくできてるなぁ』 と、感心したものがあった。
それが、このラーメン。
084fa5d8.jpg
これの使い方を聞いて、
普段の自分なら速攻でカミサンをからかうところなのだが、
今回ばかりはとてもそんな気が起こらなかった。
五十を過ぎたオバサンがこれを頭に乗せて公衆の面前で
「秘伝ラーメン体操」を踊っていたのです。

立派で凄いことだと思うよ。

だいぶ感動。




 


ご対面

今年の4月、長男が偶々(たまたま)同じ会社に入社。
以来、社内では遭遇することもなく、あっという間に半年が過ぎた。
意外と会わないものです。

それが昨日の朝、

早朝の会議を終えて部屋に戻る途中、
出社してきた本人と廊下で初めてすれ違った。

目が合った瞬間に思わず

「おぅ」

と、声を掛けてしまったのだが

「おはようございます」

と、至極丁寧に返された。

社内の見知らぬ先輩(私)に対する素直な挨拶そのもので、
全く嫌みもなくクール。
どっちがベテラン社会人と呼ぶに相応しいか・・・。

   すみませんでした。
   もう馴れ馴れしくしません。

・・・って感じですよ。

ちょー、やりづらい。(笑)









「仕打ち」という名の伝承芸 

Facebook のリンク用に別ブログを開設しました。
こちらと同一の記事をアップしますが、内容的には
「つぶやき以上独白未満」のネタに限ろうかと考えています。
過去記事の流用掲載も多くなりますが、
その分はコチラでも気まぐれに再アップするつもりです。

早速ですが、2006年4月の記事の再アップです。

-------------------------------------------------------------

外出から帰宅するとカミサンが家にいなかった。

「そういえばクラス会とか言ってたなぁ」

実はワタクシ、カミサンとは中学校の同級生。
彼女のクラスは結構マメににクラス会を開催していて、
当然その日の帰宅は遅くなる訳ですが、
カミサンにはいつも迷惑を掛けているので、
たとえ朝帰りになろうとも特に文句はつけません。

ギターを弾いて遊んでいると、日付が変わった直後に携帯が鳴った。
カミサンです。

   『今、三次会で品川から深川に戻って●●クンのお店にいるの。
     悪いけれど車で迎えに来てくれる?』

これ、クラス会の時はお決まりのパターン。
で、旧友が経営している深川の店まで車を走らせました。
深川は二人が生まれ育った場所で、
隣県F市にある今の住まいからは車で1時間弱ほどの距離になります。

到着後、しばし懐かしい友人と会話を交わした後、
カミサンを助手席に乗せてF市の自宅に戻ります。
車を走らせてすぐ、見た目はしっかりしていそうなカミサンがつぶやく。

   『今週疲れていたせいかな? そんなに飲んでないけれど
     少し酔ってるみたい』

少しだとぉ!? おい、おい。結構匂ってるじゃん。

   『でも大丈夫だから!』

そんなことないよ。
この種類の匂いは明らかに危険な兆候でしょお? 

   「ヤバかったら、早く言えよ。直ぐにクルマ停めるから」

が、結局間に合わなかった。

   『分った・・・』

に続き、間髪置かず

   『だめッッ・・・』

そして、促音の「ッ」が消えたと思った瞬間、

   『ウッゥッッ・・プ』

という悪魔の声を聞いた。

急停車させたものの一瞬遅かったようで、わずかに間に合わなかった。
カミサンはドアを開けると同時にリヴァースし、
大半は道路に放出されたもののハシリの “一番搾り” の分が
しっかりドアの内部に・・・。

直前の言動を悔やんだ。

ここに行き着く前にある場所を通過しており、
それが必然を呼んでしまった気がしたのである。
   ・
   ・
   ・
19年前のことです。
当時、ワタシたちは今の住まいに転居する前で、
生まれ育った深川にも近い同じ区内に住んでいた。
正月のある日の夕方、

『おとうさんが深川の●●さんのところ(馴染みの寿司屋)で
 酔っ払っちゃったらしいのよ。一人じゃ帰れない様子なので、
 申し訳ないけれど車で送迎してもらえるかしら?』

隣県に住むカミサンの実家のお義母さんから電話でSOSがあった。
言われるがまま私は店に向かい、お義父さんを介抱して
やっとこさ車に乗せ、カミサンの実家まで車を走らせたのである。
が、お義父さんは見事に酩酊しており、
不気味なリズムで怪しいシャックリを繰り返していた。
こういう時の予感は実のところ99%確信であり、

案の定、走り出して直ぐ・・・

助手席の悪魔は “恐ろしい音” を響かせた後、思いっきりことに及んだ。

あの日、あの時、
カミサンのお義父さんは車の「ドア」や「窓」を開く代わりに、
自分の「両ひざ」を大きく開き、
その空間にキモチよ~く大量のお年玉を投下した。

正月だというのに滅茶苦茶悲しい気持ちになり、
自分の隣に座る物体を一刻も早く “納品” したくて、
真冬の高速を窓全開でぶっ飛ばし、カミサンの実家に向かったのである。

あれ、納車されてまだ一週間の新車だったんだよなぁ・・・。
フロアマットはダメになるし、
しばらく芳香剤の効き目がなくなるほどの・・・。
あぁ、思い出したくない。

そう、思い出したくないはずだったのに・・・

   ・
   ・
   ・

カミサンが事に及ぶ直前、クルマはその “お義父さんポイント” を通過した。
私が悔やんだのは、そこでわざわざ車を停め、

「そう、そう、ここだったよ。よ~く覚えてる。
 お前のお義父さんの首を絞めてやろうと思ったのは」

こう言ってしまったことである。
要らぬことを思い出したせいで怨念を呼んだに違いない。

でも、二世代に渡って俺に同じ仕打ちするなんてなぁ・・・。
もう伝承芸だろ、これ。

56's hobby 【Photo】

写真撮影が好きです。 時々、以下のサイトに写真をアップしています。
-工事中-

56's hobby 【Guitar】

46歳の時からギターを弾き始めました。録音音源をアップしています。

◆Goro's guitar play



《所有ギター》
Hiramitsu-SJ 56's custom
Martin-M38
Morris-S55

56’s Theater

趣味で撮影した写真をBGM付きのスライドショーにしています。
-工事中-

最近のあれこれ

50歳を迎えた節目の記念にオリジナルギターを作りました。ルシアー(ギター製作家)は平光泰典さんです。
平光さんはクラシックギターの製作家として高名な一柳一雄氏に師事。独立され、現在は鉄弦(アコースティックギター)の世界に転じていらっしゃいます。私のような素人の下手っぴーがオーダーするなど失礼なことと思いましたが、快く引き受けてくださいました。

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