遺言代わりに書き留めています。 自分と自分の周りのこと・・・
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通勤電車を毎日利用していると、
時々、その言動・行動・仕草・容姿などがとても気になる
(興味深い)乗客に出遭うことがあります。
「キャラが立っているなぁ・・・」
そう感じた瞬間から目が離せなくなってしまう。
そういう人を観察することが趣味なんです。
一昨日の雨の日の帰り掛け、そんな乗客と一緒になった。
時間は夜の8時台。
まだまだ利用者の多い時間帯です。
超満員ではありませんが、それなりの乗客数でした。
乗車して二つ目の駅に着いた時です。
私の隣に座っていた人が降りようと席を立つと、
反対側の吊革に掴まっていた人が、
凄いスピードでその席に飛び込んできました。
「誰にも座らせない」。
そんな気迫を感じさせるほどの勢いだった。
立派な体格のその男性の容姿は、
黒ぶちメガネ、
暴れまくっている髪と髭、
くたびれたキャメルのステンカラーコート、
ポップな配色で不釣合いな可愛いマフラー、
ブルース・リーが穿いていたような超短い丈の黒いズボン、
黒の皮靴に白の靴下、それとビニール傘、
そして何故か鳥取県のキャラがプリントされたビニール袋、
というスタイルでした。
短いズボンに白い靴下が印象的なその “ カンフーおじさん ” は
五十歳代半ばぐらいに思えた。
“ カンフー ” が座ってまもなく、食べ物の匂いが辺りに漂う。
何の匂い?
チラッと横に目をやると、
“ カンフー ” の膝の上のビニール袋の中にマックの
茶色い紙袋が見えた。
あぁ、ハンバーガーだったのね。
その瞬間、 “ カンフー ” はハンバーガーを袋から取り出した。
えっ、マジ!? ここで食べるの?
さっき、貪欲に席を確保した理由が分かった。
どうしても座ってハンバーガーを食べたかったんだろう。
きっと今じゃなきゃダメなんだ。
周りの反応を気にしている様子は一切なかった。
包装紙をむいて本当に食べ始めると、
両膝で挟んでいたビニール傘が結構な音を立てて床に倒れた。
音の方に乗客の視線が集中する。
静かな車内で、“カンフー”のところだけが騒がしい。
息遣いも犬のように『ハァハァ』とうるさいのだ。
“ カンフー ” はお腹がたいへん立派で、傘を拾うことに苦労していた。
やっとのことで傘を拾うと、食事を再開。
かなり強烈に匂いが漂う。
前方を直視し、黙々と口を動かしているが、
一体この人は視線をどこに置いて食べているんだろうか?
目の前に座っている人は見つめられて困るだろうなぁ。
そんなことに興味津々なのだが、匂いを正面から受けてしまうので
確かめようにも私は横を見れない。
直(じき)にハンバーガーは食べ終えた。
ただ、『ハァハァ』という息遣いは依然と荒く、
胃に落ちたハンバーガーの匂いはずっとアウトプット中である。
匂い、嫌だなぁ・・・。
でも、しょうがない。
車内で食べちゃいけないルールは無いのだ。
匂いぐらいは我慢、我慢。
そう思った瞬間、
“ カンフー ” は袋から、何かを取り出そうとしていた。
えっ、マジ!? まだあるの?
今度はポテトだった。
ポテトを二本食べたところで、
両膝で挟んでいたビニール傘が結構な音を立てて再び床に倒れた。
一つの行動に移ると、それまで続いていた他のことに
全く気が回らないタイプのようです。
またもや音の方に乗客の視線が集中する。
前回と同じようにやっとこさ傘を拾った “ カンフー ” は、
その後もポテトを袋の中から一本ずつ取り出し、
まるでジャガリコを食べるように
小刻みにカリカリ、カリカリと、口を動かしていた。
そして相変わらず、ずっと目の前を直視し続けている。
誰から見ても異彩です。
視線はどこに定めているんだろうか?
ポテトのサイズ、何だろう?
時間、ちょっと長そうだなぁ・・・。
一気にガバッと食えよ。
結局、時間を掛けて “ カンフー ” はポテトを食べ終えた。
だが、状況は変わらない。
相変わらず『ハァハァ』と吐かれる息からは
十分過ぎるほどハンバーガーの匂いが供給されている。
やっと終わったか。
もうちょっと我慢、我慢。
そう思った瞬間、
今度は袋からコーラを取り出した。
えっ、セットだったの!?
ドリンクもあったんかい!
目に入ったコーラの蓋のかぶせ具合がどうも気になる。
微妙に浮いていて、はまっていない感じがするのだ。
すると、
両膝で挟んでいたビニール傘がまたもや音を立てて床に倒れた。
通算三回目。再び音の方に乗客の視線が集中する。
いいかげん、もう傘にも集中しろよ!
ハンバーガーとポテトを完食して更にお腹が膨れたのか、
傘は一段と拾い辛くなっている様子が伺える。
かなり身体を捻(ひね)っており、それに伴って、
反対側の手に持っているコーラのカップの傾き角度が怪しい。
もう電車は駅に進入して、ブレーキで制動が始まっていた。
“ カンフー ” の体重がぐんぐん私の方に移ってくる。
ほら、ほら、こぼれるって!!
こっち側に向けるなよっ!
あぁ、もう限界・・・。
というところで、 “ カンフー ” は傘を拾うことができた。
急停車されたら完全にコーラを浴びていたはずだ。
下車駅のひとつ手前の駅で大勢の客が降りた。
席が空いたことで “ カンフー ” は端の方に移動していった。
自分はもう次駅で下車だけど、離れていってくれたことにホッとする。
ようやく匂いから開放されたのだ。
そして下車駅に到着。
ドアの前に向かい、止まるのを待っていると何か匂う。
覚えのある匂いだ・・・。
首を横にずらし、窓ガラスに写る姿で後ろを確認すると、
背中に “ カンフー ” がピッタリくっついていた。
『ハァハァハァ』
やっぱり息遣いが荒い。(笑)
こういう人と一緒になると電車は楽しい。
スマイル 0円。
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