遺言代わりに書き留めています。 自分と自分の周りのこと・・・
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乗り換え駅で階段を下りる途中、
斜め前を行く高校生のYシャツの奥襟に
サイズ表示のシールが付いているのを見つけた。
初めて着る新しいシャツで、はがし忘れたのでしょう。
こういうことはありがちです。
よく見かけるのはクリーニング屋さんの識別タグとか
新品のジャケットやコートの仮留め糸を取り忘れている人だろうか。
でも、その程度で収まれば、
気付いた時の本人の恥ずかしさも知れたものです。
ダメージは少ない。
だが、
「そりゃ、気付かされた本人は絶望的な心境に陥っただろうなぁ・・・」
と、想像できるほどの、
そんなとんでもない場面に遭遇した経験をもつ会社の先輩から、
その時の面白い話を聞いたことがある。
・
もう20年ぐらい前のことです。
自分が目にしたワケではありませんが、
話をしてくれたその先輩が当事者として見たことですから、
決して作り話ではありません。
教えてくれた先輩をAさん、やらかしちゃった恥ずかしい人を
Bさんとしましょうか。BさんはAさんの後輩で、私にとっては
Aさん同様先輩にあたります。
朝、出社した二人は社内のコーヒースタンドで一緒になり、
モーニングコーヒーを注文しました。
ここから「とんでもない場面」が始まります。
コーヒーが出てくるのを待つ間、談笑を始めてすぐに
AさんはBさんの身なりに違和感を覚えます。
ネクタイを締めたYシャツの襟元から、首筋の肌色と似た色の
異物がのぞいていることに気付いたのです。
ん?
あれ?
あれれっっ!?
え~っっ!!!
やっぱりそうだよなぁ・・・。
あれっぽいよなぁ・・・。
どうしよう?
Bさんに伝えてあげるべきか、そのまま放っておくか?
Aさんは悩んだ挙句、結局、言葉を選んで遠まわしに
言ってあげたそうです。
『おい、Yシャツの襟から何か出てるぞ』
・
・
鏡を見れば自分の姿も分ったはずですが、
Bさんにそんな時間的余裕はなかったのでしょう。
多分・・・
前夜の徹夜作業がたたり、
Bさんは不覚にも寝坊してしまったのです。
目覚めた瞬間から猛ダッシュ状態で、
たいそう焦って出勤の支度をしたんだろうと思われます。
穴の左右ををまちがえて足を通し、「何やってんだよ!」と
自分に叫びながらパンツを穿き直す。
下着に首を入れたと思ったら、今度は前後逆。
そんなことを繰り返し、顔を洗う暇もなく飛び出してきたはずです。
その際、順番に服を着込んでいった時に、前夜、
自分が脱いだ衣服の近くにあったモノを巻き込んでしまったのでしょう。
そんな運の悪い日は誰にでもある。
ただ、その朝、出社して直ぐに仲の良いAさんと出会えたのは
Bさんにしてみればツキがあったことになる。
もし、コーヒースタンドで会わなかったら、その後
Bさんにはタイヘンな一日が待っていただろう。
襟元の異物が発見されるタイミング次第では大珍事に、
いや、本人にとっては大惨事になっていたことは間違いない。
上司との会議の席上か、はたまた、
得意先にクレームの謝罪をしている最中になるのか、
危ない場面が次から次へと襲ってきたと思われる。
『あれ!? B君、首に何か挟まってるよ』
オフィシャルな場でそんな指摘を受けることなく
朝イチで重大な局面を乗り切れたのは、
Bさんにとって不幸中の幸いだったはずだ。
・
・
Aさんから指摘を受けたBさんは首元に手をやってみる。
Yシャツの下に何かを入れた覚えなどない本人にしてみれば、
全く見当がつかない。
ましてや、あごの下は自分からは死角になっているので
それが何か分からないまま、Bさんは半信半疑で
飛び出していた異物の先端をつまみ出してみた。
でも、なかなか途切れない。それはとにかく長かったのです。
手品師の如く、両手を使って手繰(たぐ)るように引っ張り出した後、
それが公衆の面前で、ましてや、会社の中などでは
絶対に出てきていけないモノであることに
Bさんはようやく気付いた様子だったらしい。
最後に薔薇の花や白鳩が出てきたのならともかく、
正体を現したのは、誰のものかは存じ上げないが、
ご婦人のパンストだったのです。
だらしなく二股で垂れ下がるパンストを呆然と眺め
Bさんはさぞかし絶望的なキモチになったことだろう。
・
他人には笑える珍事。でも、本人には惨事ということ。
ちなみに、Bさんが誰であるかは絶対に言えない。(笑)
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