先週の土曜日、姪の結婚式があった。カミサンのお姉さんの二女にあたります。
義姉のところは子供が三人いて、一男二女の組み合わせはウチと同じ。すでに上の
二人は世帯を構えており、今回の二女が最後の結婚式になる。姪のお祝いのために
出席する披露宴ではあるが、それ以外に私は楽しみにしていたことがある。ちょうど
一昨年の今頃、義姉の長男の結婚式があった。たいへんに愉快な披露宴だったの
ですが、その理由は義姉の旦那さんにある。“ヨシヒサ”さんという新郎の父親である
義兄は、酔った勢いから発せられた数々の楽しい言動で披露宴会場をとても和ませ
てくれたのです。
ヨシヒサさんは会社を経営している立派な社長さんです。彼の会社はアルミサッシ
建材を扱う商社。オーナー企業であるので、勿論社長自ら営業もする。そのせいか
他人と一緒の席では、私などでは気付かない細かいところまで良く気が回る。接客
サービスがとにかく自然で凄くて、営業職の自分としては常日頃から感心している
人物なのです。それと、職業的には現場で職人の人たちと飲む機会も多いのでしょう、
彼はお酒が強い。そしてお酒が大好きです。飲むとどうなるかというと、格段と陽気に
なって饒舌(じょうぜつ)になる。長男の披露宴ではそのパフォーマンスが実に素晴ら
しかったということ。挨拶の最中に入れる茶茶が最高だったのです。(笑)
ただし、家族はハラハラドキドキだったようで(当たり前か?)、義姉と長女は隣の席で
『もぉ、やめてっ!』と再三注意していた。それどころか、父親の言動を終始観察して
いた新郎がひな壇から降りてきてヨシヒサさんを注意する場面もあったのです。(笑)
それでも人を侮辱するようなことは全く言っていないし、ヨシヒサさんのファンとしては
逆に、最低限の節度をキープしつつお祝いの席を盛り上げた功績を称えたいぐらい
だったのです。
で、私は今回もその時の再現を期待していた。
結婚式の数週間前、身内で不幸があり顔を合わせることがあった。私が「披露宴、
今回も期待していますから是非はじけて下さいよ。私はそれが目的で伺うようなもの
ですから」とそそのかしたところ、義兄は「いや、いや、今回は静かにします。“カズコ
(義姉です)”からもきつく釘を刺されていますので・・・」と神妙なコメントが出てきた。
ところがどっこい(笑)、本番当日は・・・
■新婦の友人が挨拶を始めると
「みどりィィィィ~ッッッ!!」と、(顔馴染みの)友人の名前を絶叫
■変装した新郎の後輩達が出し物を終えて退場しようとすると
「ちゃんと金払っていけよ!」と、背中に言葉を投げ
■新婦の友人がお祝いの素敵なバラードを唄っている最中に
「待ってましたぁ~!!」と、合いの手を入れ、更に
「それほどでもないぞ~」と、続け
■新郎の来賓の挨拶がかなり長くなってきたと見るや
「それ以上長くなると巻きが入るぞッ」と、かまし
■新婦が泣きながら手紙を読み『パパには面倒を掛け続けて・・・』と言った途端に
「そんなに面倒かかってないぞぉ~」と、突っ込む。・・・などなど。
父親が父親なら娘も負けていなかった。泣きながら両親に宛てた手紙を読む新婦に
向けて『こんなとこで泣くんじゃないッ!』と茶茶を入れたヨシヒサさんに対し、二女は
すかさず『泣いてないよッ!』と切り返していたものなぁ。(笑)
こんな些細な場面にもこの家族の絆の強さを感じる。特に三人の子供達は両親が大
好きなようで、一昨年の披露宴の最後の挨拶で長男が『両親のような夫婦になりたい』
と、ハッキリ言っていたのを思い出した。
私の子供たちもいずれは結婚して自分達夫婦の元を離れていく。その時、子供たち
から見える父親としての自分、そして両親としての夫婦の存在感は一体どんなもの
だろうか?
『両親のような夫婦になりたい』
親にとっては最高の褒め言葉。披露宴でこんなこと言われたら最高の幸せだなぁ。
姪の朗読する手紙を聞きながら泣いている他人の私。その傍で酔っ払って茶茶を
入れまくる当事者である新婦の父親ヨシヒサさんを見てそんなことを感じた。(笑)
羨ましいですよ、ヨシヒサさん。貴方は実に素敵です。
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