就職してから27年になる。職種は一貫して営業です。総合印刷業の会社の中で
出版関係のお客さんを相手に営業をしている。営業と呼ばれる職にはいろいろな
スタイルがあるが我々の場合はどちらかと言えばルートセールスに近い。一般的な
営業イメージである「飛び込み」などはしない。となると、固定客との関わりが
大半であってそれほど多くの人と接することがないように思えるのだが、実際は
そうでもない。
得意先に関わるところだと、発注管理者・編集者・広告担当者・販売担当者・
デザイナー・カメラマン・編集プロダクションの人・校正者・広告代理店の人、
出版社さんの指定する用紙代理店・用紙メーカー・製本所、などで接点を持つ人。
自社に目を向けると、例えば印刷・製本・加工等の生産に関連する協力会社の人、
梱包・発送など物流に関わる会社の人、人材派遣会社の人、などなど。
今は担当をもたない管理職なので接触点は減ったが、それまでは名刺交換をする
ことが大変に多かった。仕事上で仲良くお付き合い頂けていた方が異動すると、
それが社内の別部門であっても、退職されて別の会社に移られたとしても
(自分は営業をしていてそれが一番嬉しいことなのだが)運良く声を掛けて頂ける
ことがある。すると、そこを起点にしてまた人脈が拡がっていく。
ということで、ルートセールス的要素の営業にしては交換した名刺の数が多い。
正確に数えたことはないが、名刺フォルダと名刺箱の詰まり具合から判断すると
多分1,000枚近いと思う。同一人物で複数の名刺を保有している分を割り引いても
それぐらいありそう。
で、これだけの人の顔と名前が一致するかというと絶対に無理。営業をしていて
自分に決定的に欠けていると思うのがこの部分。本当に覚えられない。(笑)
忘れないように相手の容姿の特徴を名刺に書き込んだりする。一番効果的なのは
(似ている対象として)友人や芸能人や漫画のキャラに置き換えることなのだが、
会う頻度が少ないとそれでもリアルに感じとれない。結局「以前にご挨拶したと
思いますが改めて・・・」と、また名刺交換をしてしまうのである。(笑)
こんなことを書いているのも、先日興味深いことがあったから。
あるお客さんと神楽坂に飲みに行った。少しお高目の和風カウンターバーと普通の
スナックの二軒。カウンターバーの方は二度目で自分もよく覚えていた。
ただし、かなり前のことなので“お母さん”(といってもそんな高齢ではない)の方は
私のことなど覚えていないだろうと思っていた。ところが「●●さんお久し振りです」
と、席に着くなり言われた。彼女は当時の私との会話内容を細かく覚えており、
私が忘れていたこともスラスラと出てきた。凄い。(笑)
二軒目のスナックはもっと衝撃的。
自分はその店も二度目の来店だったらしい。「・・・らしい」というのは、要するに
行った事も忘れていたのです。(笑) ここでは入るなりママさんから「あっら~
●●ちゃんお久し振りぃ~」と言われた。しかも●●は苗字の頭二文字だものね。
ママは同様に当時の会話内容を喋っていた本人に教えてくれた。(笑)
やっぱり凄いです。
人数的な接点は自分より確かに少ないと思うが、彼女たちはそれが一瞬であっても
確実に人と成りをインプットしているのである。商売柄の特性とも言えるけれど
絶対に能力も備えているはず。見習うべきところです。酔客であっても相手を知る
ことと自分を表現することに真剣なんだろうと思う。これは仕事以外でも同じこと。
果たして自分は?
嫌な思いをさせてしまった人も中にはきっといるだろう。名刺交換した全ての人
関わりを持った全ての友人・知人に対し冷や汗・・・デス。
勉強になります。
PR
COMMENT