金曜の晩、パイプオルガンの演奏を聴くために、カミサンと二人で関口に
ある
東京カテドラル大聖堂まで出掛けた。
こちらでは毎月一回、パイプオルガンの演奏を無料で楽しめる演奏会が
開かれます。
26年前、自分達がこの教会で挙式した当時にあったパイプオルガンは
既に無く、今は新しいオルガンに変わっている。
そういった意味では、初めて聴く生音(なまおと)です。
オルガン メディテーション -晩の祈りとオルガン音楽-
こう銘うたれた演奏会は、オルガン演奏の合間に司祭と参会者が
祈りの詞(ことば)を発声して進行する内容だった。パイプオルガンの
演奏だけを何となく想像していたが、こちらは教会なので「祈り」は当然の
ことですね。けれども、宗教的な誘導があるわけでもなく、週末に心を
鎮められる場と考えれば、約一時間、厳かな空間に自らを置くことは良い
時間の使い方かと思います。
オルガンは祭壇と向かい合う位置にある。
純粋な演奏会として開催される場合は、椅子の向きをオルガン側に正対
させるようだが、通常は椅子に座る自分達の背後から音が聴こえてくる。
それでも「音」は素晴らしかった。この建物は、しっかりと音響設計された
構造になっている。そのせいか、音に包まれるような感覚です。
演目は三回に分けられていた。
演奏曲はそれなりに長い。
オルガン演奏の間、自分は瞑想していた。が、カミサンの方は上体が
“迷走” していた。祈りの詞(ことば)を発声していた時は良かったのだが、
演奏が始まって暫らくしてから横に目をやると、隣人はいつの間にか
気持ち良さそうに寝ていたのです。(笑)
しょうがないなぁ・・・
ということで、全能の神に成り代わり
『急いで助けに来てください』
たまたま発声したばかりの、この祈りの詞(ことば)に応えてみた。
「迷い人」 の脚を蹴飛ばしてあげたのである。
合計三回の “アーメン”。(笑)
演奏会が終わり、食事に向かう。
26年前、この教会で挙式するにあたっては(二人共クリスチャンでない故)
事前に都合4回の結婚に関する講座(教義)へ揃って出席することが
義務付けられていた。それは丁度この時季の木曜日で、2時間の講座が
終了した後は寒い中を歩いて神楽坂方面に向かい、二人で食事をした。
残業が多い職種だったので平日に会えることは殆ど無く、講座に出席する
木曜日は半分デートみたいなものだった。
当時と同じように、椿山荘の前の坂道を下って行く。
途中、江戸川橋の交差点で
「
ここを渡って、あの商店街のお蕎麦屋さんで食事したよなぁ」
私がこう言うと
『
へぇ~っ、そうだったっけ? 全然覚えてない』
カミサンはあっけらかんとしている。
すかさず、
「
相変わらずお前はつまらないヤツだな。そういう思い出を
全く覚えていないでしょ。 いつぞやの旅行も新婚旅行で行った場所を
わざわざ選んで行ったのに当時のロケーションを忘れていたし、
ホント、最低だよお前は 」
私がこう続けると、
『
イヤなことは全部忘れちゃうのよ』
と、カミサンからとんでもない言葉が飛び出す。
「
イヤなことだと!? どういう意味だ、それ!」
『
直ぐに頭の中が一杯になっちゃうから忘れるようにしてる、ってことよ』
「
言葉の遣い方も分らないのかよ。ホントに頭の悪いヤツだなぁ」
などと、ボケた会話を繰り返す内に神楽坂まで歩いてしまった。
26年前と変わらないコースをなぞった週末の夜。
変わったのは、入るお店のグレードがちょこっと上がったことぐらい。
懐かしいような、昨日のことのような・・・。
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