カミサンは通勤に地下鉄を利用している。
最近、乗車するたびに必ず目をむけて読み込んでしまう
中吊りポスターがあることを私に教えてくれた。
ネットで調べてみると、それは東京メトロが募集している
「メトロ文学館」という詩の作品展の入選作だった。
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メトロ文学館 第14回発表作品
[ レールの光 ]
ホームのベンチに腰かけることなど
自分にはないと思っていた
誰かを待っているのではない
待たれているのだ 年老いた母によって・・・・・・
枯れつつもなお 頑なさを増してゆく母に
つい きつい言葉を浴びせてしまう
また一台 電車をやり過ごしてしまった
母はもう あの頃の母ではないのだ
納得できない重い体 立ち上がった瞬間
目の先のレールに 光が走り
電車がおおいかぶさった
闇を進む地下鉄のような 母の行方
その先を照らす 光となれるのか 私は
作者:大島恵美子さん(東京都杉並区在住57歳)
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やがて自分の母親にも、こんな時が訪れるだろう。
作者ほど追い詰められた状況ではないものの、
段々と近づいている予感もある。
もしかすると、もう足を踏み入れているのかもしれない。
仕事をしなければ生活はできない現実。
でも、それとは裏腹に確実に進んでいく身内の事態。
初めて読んだ時、カミサンは作者と自分自身、
そして、自分の義母にイメージが重なり
思わず涙をこぼしてしまったそうだ。
感謝。
【転用】
詩の部分は、東京メトロのHP上に掲載されている
ポスターの画像を参考にリライトさせて頂きました。
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