あれっ!? あの人、久し振りだなぁ~。
視界に飛び込んできたタオルが気付かせてくれた。
本当はおもいっきりお茶目でカワイイ柄だと良かったのだが・・・。
今朝の通勤時のこと。
車両連結部に接する三人掛けシートの端に座り、
壁に寄りかかってぐっすり寝ているオジサンがいた。
この人には以前も全く同じシチュエーションで
出くわしたことがあるのです。
そして・・・
前回遭遇時に倣(なら)うなら、本来、冒頭の写真のタオルは
私を癒すための重要なツールとなるはずだが、
今日は生憎(あいにく)と、既にその仕事を終えてしまったようだ。
材質のせい? それとも 湿度のせい?
いずれにしても、
今回は一気に登りつめてしまったのだろう。
ここまでの道のりを見届けることが出来ず、残念な思いが募る。
私は吊り革にぶら下り、
少々物足りなさが残る眼下の光景を眺めながら、
およそ一年前の出来事を思い出していた・・・。
***** 以下、2011年12月21日アップ分を転載 *****
タイトル 【朝風呂】
・
今日、朝の通勤電車の車内で面白い光景を見た。
車両連結部に近い三人掛けシートの端で
オジサンが壁にもたれ掛かって居眠りをしていた。
丁度その席の前の吊り革が空いていたので歩を進める。
カバンを網棚に載せて視線を下に向けると、
オジサンは側頭部と壁との間にポップな柄の黄色いタオルを挟み、
枕代わりのクッションにしていた。
キモチ良さそうに熟睡していらっしゃる。
この時季にはちょっと寒そうなバーコードヘアだが、
派手なタオルとの組み合わせが意外とマッチしており、
微妙にカワイイ。(笑)
心地よい電車の揺れに楽しい夢をみているのだろう、
“ふっ”
“ふふっ”
オジサンの口元が何度か緩み、寝顔がニヤつく。
・
通勤電車の車内にこういう人を見つけることが出来ると嬉しい。
殺風景でサイレントな空間が一転して小劇場に変わったりするのである。
過去の経験から、このオジサンには相当な実力というか匂いを感じる。
かなりのパフォーマンスが期待できそうな気がしていた。
案の定・・・
私が下車するまでの約20分間で
オジサンの様(さま)は見事に変化していった。
眠りのレベルが高まるにつれ、
オジサンの頭は壁伝いに段々とズリ下がり、
な、な、なんと!
逆に、タオルのほうが徐々に上へ、上へとよじ登ってきたのである。
下車駅の直前では黄色いタオルは既に枕の役目を終え、
キレイに四つ折りに畳まれた状態のまま
オジサンの頭のてっぺんまで移動していた。
力学的にどのようなチカラが作用したのか全く分らないが、
タオルは完全にオジサンの頭頂部を制覇している。
サミット!
その姿はとてもフォトジェニックで
写真に残しておきたいほどだった。
電車が停車する。
バーコードの頭頂部を覆(おお)う黄色いタオルに笑いをこらえながら
網棚のバッグに手を延ばした時、オジサンの半開きになった口から
声とも安堵のため息とも取れる音が漏れた。
“ふぅ~”
夢の中・・・。
キモチよさそう・・・。
頭上に乗ったタオル・・・。
オジサンは、ちょうど今、肩まで温泉に浸かったところなんだろうと思った。
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